税金のABC 遺⾔書(下)

遺⾔書は作成⾃体が⽬的ではなく、遺⾔者の意思が実現されなければ意味がありません。そこで今回は遺⾔書作成時の注意点です。

税理士 菊地克子

⾃筆証書遺⾔の難点

イメージ遺⾔書にはいくつかの種類がありますが、⼤別すると遺⾔者が⾃ら作成する「⾃筆証書遺⾔」と、公証⼈が作成する「公正証書遺⾔」とがあります。
⾃筆証書遺⾔なら経費もかからず簡単と思われがちですが、
(1)紛失や偽造、隠匿の恐れがある
(2)家庭裁判所で相続⼈全員による“検認”が必要
(3)形式に不備があれば不動産の名義変更
等の相続⼿続ができない――などのデメリットがあります。

お勧めは公正証書遺⾔

イメージ公正証書遺⾔なら、公⽂書として強⼒な効⼒をもち、原本は公証役場に保管されるため紛失、変造の⼼配はありません。
また公証⼈が作成するため、形式に不備があること はなく、相続開始後すぐに相続⼿続をすることが可能になります。
早期作成を忘れずに遺⾔書を作成するタイミングですが、早いにこしたことはありません。作成時の意思能⼒に疑いを持たれればその有効性が問題視され、遺族間でモメる原因になります。
また、遺留分(⼀定の相続⼈が⼀定の財産を取得できる権利)に配慮したり、相続税がかかりそうなら⼩規模宅地等の優遇税制を受けられるように配分したりと、財産の配分の仕⽅については⼗分な検討が必要です。

専⾨家にも相談を

遺⾔内容の実現のためには、遺⾔書が安全に保管され、相続発⽣後タイムリーに確実に開⽰されなければなりません。そのためにも遺⾔執⾏者(遺⾔書に従って相続⼿続を⾏う者)を遺⾔書に記載して指定し、遺⾔書の保管から執⾏までをお願いすることが望ましいやり⽅です。
また、財産が多額で複雑な場合には、弁護⼠などの専⾨家や信託銀⾏を遺⾔執⾏者に 指定するのも選択肢の1つです。

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