税金のABC 名義預金
7⽉から12⽉にかけては個⼈の税⾦に対する税務調査が多い時期。今回は相続税の税務調査で問題になりやすい「名義預⾦」のお話です。
税理士 菊地克子
名義預⾦とは?
名義預⾦とは、名義⼈と実質所有者が異なる預⾦を指します。実質所有者が配偶者や⼦ども、孫などの名義で預⾦していても、名義を借りているだけに過ぎないと税務署がみなせば、実質所有者に相続が発⽣した場合は亡くなった⼈(被相続⼈)の財産として相続税が課されます。
判断の要素
例えば、被相続⼈が⽣前にお孫さんの通帳に毎年100万円を⼊⾦していたとします。税務署はこのお孫さん名義の預⾦が名義預⾦なのか否かを判断する際、お孫さんが⾃分の預⾦と認識し、⾃分で管理運⽤していたかどうかを確認します。
仮に被相続⼈の通帳と ⼀緒にお孫さん名義の通帳が⾒つかった場合、お孫さんが管理していない可能性が⾼いので名義預⾦と疑われます。将来、お孫さんに贈与しようと思って⼊⾦していても、贈与するの は将来であり、亡くなった時点では贈与は成⽴していないため名義預⾦と判断されてしまうでしょう。
双⽅の意思の成⽴が必要
税務署から、贈与が成⽴しており、名義預⾦ではないことを認めてもらうには、あげる側(贈与者)ともらう側(受贈者)の双⽅の意思が成⽴している必要があり、その事実をどのようにして⽰せるかが重要です。
遺⾔のように贈与者 の⼀⽅的な意思表⽰では贈与成⽴は認められません。
⼤切な贈与契約書
受贈者がもらった預⾦を⾃分の財産として認識・管理していれば、贈与が成⽴している証拠になります。
また贈与 契約は⼝頭でも成⽴しますが、夫婦間の⾦銭のやり取りはそれが⽣活費の受け渡しなのか、⾦銭の贈与なのかが不明確になりやすく、贈与者、受贈者双⽅の署名で贈与契約書を残しておくことも重要です。