税金のABC 任意後⾒制度
認知症などで判断能⼒が不⼗分になった時、本⼈に代わって財産管理を⾏うのが「成年後⾒制度」。成年後⾒には「法定後⾒」と「任意後⾒」の2種類があり、今回は任意後⾒についてお話ししましょう。
税理士 菊地克子
法定後⾒と任意後⾒
法定後⾒は法律の規定によるもので、本⼈の判断能⼒が不⼗分になった場合に、家族などが申し⽴てて家庭裁判所が選任します。家裁が本⼈の財産や家族関係などを考慮して選ぶため、必ずしも本⼈が望む⼈や家族らが推す⼈がなるとは限りません。
これに対し、任意後⾒は判断能⼒があるうちに本⼈が決めます。
判断能⼒があるうちに
任意後⾒の場合、本⼈と後⾒⼈候補との間で契約を取り交わしますが、実際の後⾒の開始はあくまで本⼈の判断能⼒不⼗分になってからです。
何をするかというと、預貯⾦や有価証券などの財産管理、不動産の売買や賃貸借などの財産に関する法律⾏為、税⾦の申告・納付などの公法上の⾏為、などなど。福祉施設への⼊所契約なども含まれます。
⼿続きは?
任意後⾒契約は本⼈と後⾒⼈候補が公証役場へ出向き、公証⼈から公正証書による任意後⾒契約書を作成してもらう必要があります。
その後、本⼈の判断能⼒が不⼗分になって候補者が任意後⾒⼈となって事務を開始するためには、家裁に任意後⾒監督⼈の選任申し⽴てを⾏う必要があります。
監督⼈が選任された時から後⾒⼈としての効⼒が⽣じることになります。
任意後⾒⼈の報酬
任意後⾒⼈を第三者にお願いした場合、通常の後⾒事務に対する報酬は、おおよそ⽉額2万円くらいから財産の額に応じて増えるようです。
親族・知⼈は無報酬のケースが多いようです。無報酬の場合には、遺⾔でより多くの財産を遺贈するなどの配慮も必要でしょう。